ちょっとブログ更新をさぼってました。マイペースに音楽活動してますよ〜。先日(5/15)は高松港を臨むオシャレで粋なMusic Venue、黒船屋さんでソロパフォーマンスさせていただきました。著名な男女デュオ、あの「サンタラ」さんの前座。僕の渡米前の2009年7月以来2回目!大変光栄です。気持ちよく演奏させていただきました!

アメリカのルーツ音楽に約半年、どっぷり浸かって帰国した僕が、改めて拝見したサンタラさんの演奏は、渡米前に見たときよりも力強い、とてつもないオーラを感じさせられました!音を追求する精神というか…オーラがすごいなあ。キョーコさん、スナダさん、長いツアーが7月まで続きますが、体に気をつけて頑張ってくださいね。

で、その次の週。黒船屋のKEIZOさんにライブのお礼を言いに、再びお店を尋ねたのですが、そこでたまたま、約20年前に大阪の大手レコード店で、カントリーとジャズを担当していたという方と知遇を得ることができました。約20年前…1990年代前半と言えば、いわゆるニューカントリーが成熟しつつある頃で、僕も好んで当時のニューカントリーを聴いてました。アメリカ的女性シンガーの良心 Trisha Yearwood、ベイカーズフィールド・サウンドの継承者 Dwight Yoakam、最高のシンガーソングライター Mary Chapin Carpenter、などなど…。地味で良いアーティストがたくさんいたんですよね、ホント。

でも1990年代後半になると、ニューカントリー界は Shania Twain、Faith Hill、Dixie Chicksといった超スーパースターが続々登場して、音楽性以上にショービジネス色が濃くなりすぎた感があって、自然と敬遠するようになりました。その辺の経緯なんかも元店員さんと話が盛り上がりました。日本におけるカントリー音楽のパブリックイメージってのは、1950年代くらいで止まってて、いまだに皆テンガロンハットかぶってヒーハー!言ってるとでも思われてるのが現状ですので、60年代以降いろいろなサウンドの変遷の末、最先端のカントリーがヘヴィ・メタルと何ら変わらないサウンドになってるってのは、彼のようにレコードビジネスの当事者でいるか、僕のような変な人間じゃないと、知りようが無いってもんです。

これだけ情報化が進んでいるのに、意外とアメリカの live & raw な音楽情報は伝わってこないですよね〜。僕は昨年(2010年)音楽の発信地・テネシー州ナッシュビルに半年ほど滞在して、ギター修行をするとともに、現地の熱い音楽シーンもつぶさに体験しまくって帰国したんですけど、特に日本に居たままでは本質を知り得なかっただろうなーと思ったのは、いわゆる「アメリカーナ(americana)」というムーブメントでした。

日本の音楽ファン、そして音楽を供給するメディアは、「カントリー」「ブルーグラス」「ブルース」「R&B」などジャンルで括りたがる傾向があるよね。まあそのほうが判り易いし便利だからなんですけど、アメリカっつーのはあんだけ広い国だから、カントリーにもブルーグラスにもブルースにもR&Bにもカテゴライズし難い、ジャンルという枠からはみ出しているアーティストなんて、ゴマンといるわけでして。

そんな奴らの中で、でもどこかアメリカン・ルーツ的なものを感じさせる人達は少なからずいて、それらをこの10年くらい、現地アメリカではズバリ「アメリカーナ」という言葉で表現しているようです。動きとしては、アメリカーナ音楽協会(Americana Music Association)というのが立ち上がり、毎年アワードや、Americana Music Festival というイベントがナッシュビルで定期開催されている模様。

70年代は「カントリーロック」、90年代は「オルタナカントリー」とか、なんとなくルーツを感じさせる音楽にあてはめる記号ってのは、それなりに過去にもあったし、それこそ「スワンピー」だの「アーシー」だの音楽評論家が便宜上用いる、訳のわからん表現ってのは枚挙にいとまが無いんですが、「アメリカーナ」という言葉はそれらとも違う、決してその言葉自体が具体的な音楽性を想起させないものになってます。

それを裏付けるために、僕が昨年9月に実際にナッシュビルで体験した「Americana Music Festival 2010」の出演者の模様を写真付きでプレイバックしたいと思います。このイベントはナッシュビル市内の9つの音楽会場で4日間に渡って行われた音楽フェスティバルでした。


まずは1990年代、ナッシュビルのホンキートンク「Robert's Western World」の看板ハウスバンドからデビューし、日本でもオルタナ・カントリーの旗手として脚光を浴びた「BR549」の元フロントマン、Chuck Mead。
chuck_mead



そしてブルーグラス編成ながら、デルタブルース的激情ボーカルとソリッドな演奏がスリリングな、The Steeldrivers。
steeldrivers


日本でもおなじみ、晩年のChet Atkinsに「地上最高のギタリスト」と言わしめた、オーストラリアが生んだアコギの巨匠・Tommy Emmanuel。
tommy_emmanuel


ブルーグラスという音楽の概念をあざ笑うかのような、プログレッシブな楽曲と卓越したテクニックと熱いハート。打楽器無しの完全ブルーグラス編成でお客さんを縦ノリさせてしまう驚異のバンド・The Infamous Stringdusters。
infamous_stringdusters


僕の人生を変えてしまった、たった1人でアメリカン・ルーツ・ミュージックの奥深さを全て体現しつつ、しかもそれを現在進行形のサウンドに昇華してしまう、スーパー・シンガーソングライター、Darrell Scott。(この日はスーパー・パーカッショニストKenny Maloneとのデュオでした)
darrell_scott


「アメリカーナ」ムーブメントの仕掛人。シンガーソングライターとして一定の地位を築きながら、全ての関連イベントでホスト役を務め、大きなうねりを作り出す張本人、Jim Lauderdale。
jim_lauderdale


ティーン時代の壮絶な人生経験、カントリー界での長い下積みを経て、2000年度グラミー賞最優秀新人賞を受賞して以来、アメリカを代表する女性シンガーソングライターとして君臨し続ける姐御、Shelby Lynee。
shelby_lynee


甘いルックスとさわやかでポップな楽曲、そしてブルーグラス畑ならではの卓越した演奏能力で、日本でも将来ブレイク必至(そして僕の個人的な友人達でもある)The Farewell Drifters。
farewell_drifters


ブラックだのホワイトだの言うのがバカらしくなるくらいの、ソウル・ヴォイスの持ち主。オーティス・レディングが憑依したかの如き鬼神のパフォーマンスを見せたのは、白人ソウルシンガーMike Farris。
Mike_Farris


Brook Benton「Rainy Night in Georgia」、Elvis Presley「Poke Salad Annie」など、サザンソウルの名ソングライターとしてのキャリアはもちろん、シンガーとしても40年以上孤高の存在であり続ける、Tony Joe White。
tonny_joe_white



とまあ、新進気鋭の人達から大御所まで、おおよそジャンルというものに括ることができない、雑多な出演者達。でもどこかアメリカンルーツ的な深み、精神を感じさせるのは、なるほど共通しているような気がします。ちなみに後から聞いた話によると、フェスティバルの3日目にライマン公会堂で「Americana Music Award」という授賞式があって僕は見損ねたんですが、そこにシークレットゲストとしてパフォーマンスしたのが、あの Robert Plant だったそうですよ。彼は2007年にAlison Kraussとコラボレーションして以来、アメリカン・ルーツ・ミュージックにどっぷり入れ込んでいますよね!

アメリカーナ。日本では認知度はゼロに等しいですが、僕が現地でナマで感じた音楽的熱気はまさにコレでした。元レコード店員の彼も、サンタラのお二人も、この話を実に興味深く聞いてくれました。そりゃそうだ、日本のメディアでは全く取りあげないもんね!でも僕が実際に見たアメリカでは、このアメリカーナがまさにlive & raw。音楽ジャンルというよりも、現代においてルーツを大事にしようとするアーティストの「精神の動き」というか…。

本当は「アメリカーナ」なんて言葉自体も、重要ではないのかもしれません。でもこれらのアーティストには、なんだか自らの音楽の精神を辿っていく、旅人のような心を感じるんですよね。せっかく僕が目の当たりにしたんだから、みんなに伝えないともったいない気がしました。みなさんも、上記のアーティスト達や、「アメリカーナ」という言葉に今後注目してみてください。今までの音楽人生で得られなかった何かが、ひょっとしたら得られるかも…?